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日窒鉱山:ノスタルジー

廃墟マニア、及びサンデーカメラマンには有名な日窒鉱山。奥秩父のさらに奥、埼玉県と群馬県の県境近くに日窒鉱山はある。廃墟マニアに有名とは言っても、ここは現在も稼働中の鉱山である。

アプローチは、秩父市大滝を中津川に沿って延びる国道140号から、大峰トンネル手前で中津峡に入り、県境を目指して雁掛トンネルを抜けると見えてくる。かつては気合いを入れないと危なかった中津峡沿いの道路も、ダム建設の影響か幅が広く走りやすくなっていた。もうひとつは、北側の小鹿野町を国道299号で抜け、県境である志賀坂トンネル手前で南に進路をとり、八丁隧道を抜けてくるコースだが、こちらの道はかなり狭くくねっているのであまりオススメできない。実際には北側の八丁隧道を通り中津峡を抜け、秩父に至り帰路につくコースをとったのだが、説明は逆から始めることにする。

秋になると紅葉で燃える美しい景観の中津峡を辿り、雁掛トンネルを抜けると、まず登場するのが秩父鉱山簡易郵便局。ここからまるで昭和初期に迷い込んだような、不思議なトリップ感が始まる。木造で年季が入った建物だが、現在でも立派に稼働中の郵便局だ。中に入ると職員が一人だけで営業している。

郵便局の中にはスタンプ台があり、単なる住所のスタンプだが、何か記念が欲しい場合にはスタンプ帳を持って行くといい。私は持っていなかったので、ハガキを買ってそこにスタンプを押した。ついでに消印も押してもらった。

郵便局の少し奥には、朽ちかけた建物。従業員の宿舎だろうか。盛衰の証しであり、こう言ってしまうのは不謹慎だが、なんともほれぼれする朽ち方だ。ここで、嬉々としてカメラを構える私の後から一台の車がやってきて、同じようにごつい一眼レフカメラを構えるお爺さん。平日の、しかもさして天気の良くない日だ。好き者はいるもんである。夫婦なのだろう、車の中には取り残された奥さん。他人の事は言えないが、付き合わされる奥さんはたまったものじゃないだろうな。

さらに登って行くと、川を挟んだ対岸に、まさに森に飲み込まれつつある廃墟群。かつてひとつの鉱山町として栄えていた頃を偲ばせる。

坂上には、集落があった。殆どは使われていない建物だが、しかしこちらは人の気配が残っている。従業員は秩父から通っているそうだが、一部はまだ使用しているのだろう。集落の入口にはシンボルとでも言うべき集会所だか学校だかの建物。しっかり施錠されていて使っている様子はなかったが、それでも朽ちつつある建物群とは違って、比較的新しく感じられる。また、扉が開いていて、現在も使っていそうな洗濯機が出ている家もあった。

向こうの切り立った山壁にプラントがへばりついている。実際には聞こえないが、稼働音がかすかに響いてきているような錯覚を憶える。なんというか、かつての人の活発な痕跡を残したまま、突然人が消えてしまった町のようで、集落の中では誰一人に会う事もなかった。既視感というか、初めての場所なのに懐かしいような、それでいて別の世界に迷い込んでいるような、そんなトリップ感が好きで、旅をやめられない。確たる脈絡もないが、人のない街の不思議な空間に佇みながら、フィリップ・K・ディックの小説「地図にない町」を何故か思い出していた...。

※注意:まだ稼働中の鉱山です。廃墟であっても、勝手に建物の中に踏み入ったり、荒らしたりするのはやめましょう。

【道の駅情報】

秩父市荒川の先、秩父市大滝の国道140号沿いに、道の駅 大滝温泉がある。日帰り温泉施設「遊湯館」が併設。

【周辺観光情報】

中津峡は、秋には紅葉が素晴らしい渓谷。中津川沿いに、中津渓谷キャンプ場と、中津川村キャンプ場がある。中津川と荒川の出合から荒川を遡ると、秩父湖。秩父湖から少し南に、三峰神社と三峰登山口がある。国道140号のおおわ側から三峰山頂へはロープウエイで行く事ができる。

2005年11月10日